夏目漱石「坊っちゃん」のあらすじを徹底解説、読んでみた感想

夏目漱石

夏目漱石「坊っちゃん」のあらすじを徹底解説、読んでみた感想

著者:夏目漱石 2010年6月に新潮社から出版

坊っちゃんの主要登場人物

坊っちゃん(ぼっちゃん)
中学校に勤める本作の主人公。江戸っ子気質で無鉄砲な青年。

清(きよ)
坊っちゃんの家のお手伝い。家族に疎まれる坊ちゃんの世話を焼いてくれた老女。

赤シャツ(あかしゃつ)
坊っちゃんの勤める中学校の教頭。物腰は柔らかいが陰湿な男。

野だいこ(のだいこ)
中学校の画学教師。赤シャツの腰巾着。

山嵐(やまあらし)
中学校の数学教師。癇癪持ちだが正義感の強い男。

1分でわかる「坊っちゃん」のあらすじ

坊っちゃんは親譲りの無鉄砲で子供の時から損ばかりしている青年です。

四国の中学校に教師として赴任し、そこで周囲の欲望が渦巻く下劣な行いを目の当たりにします。

諸悪の根源が教頭の赤シャツとその腰巾着の野だいこであることを知り、一度は険悪になった同僚の山嵐と意気投合し手を組みます。

持ち前の正義感と破天荒さを以て山嵐とともに、芸者遊び帰りの二人を懲らしめました。

最後には教師の仕事を辞め故郷である東京へと帰り、お手伝いである清と暮らします。

清はその後肺炎を患い亡くなってしまいますが、本人の意向を汲んで坊っちゃんの御寺である小日向の養源寺に墓に入りました。

夏目漱石が自身の教師時代の体験を元に執筆した、勧善懲悪が主題の名作小説です。

夏目漱石「坊っちゃん」の起承転結

【起】坊っちゃん のあらすじ①

 

親譲りの無鉄砲

坊っちゃんは、親譲りの無鉄砲で子供の頃から損ばかりしていました。

父親は手の掛かる坊っちゃんをかわいがらず、母親は兄ばかりをひいきしました。

竹を割ったような性格の坊っちゃんは、色白で女のような性格の兄とも反りが合いません。

母が病気で亡くなる前に、坊っちゃんは台所で宙返りをして肋骨を打ちつけてしまいます。

母はとても怒り、顔を見たくないと言うので坊ちゃんは親戚の家へ泊まりに行きます。

すると母が亡くなったという知らせを受けました。

兄は親不孝だ、おまえのせいで母は早くに亡くなったんだと言って坊っちゃんを叱ります。

それからは父と兄との三人暮らしが始まります。

家族と折り合いの悪いなか、年老いたお手伝いの清だけは坊っちゃんをかわいがります。

清はもともと由緒のある家の出ですが、幕府崩壊の際に落ちぶれ、奉公に出るようになった女です。

清は坊っちゃんが家でも持って独立したら側に置いてくださいと頻りに頼むので、坊っちゃんも置いてやると返事をしていました。

その後父が亡くなり、兄は家を売り払い東京を離れ九州の商社に勤めることになります。

坊っちゃんは兄からもらった六百円で物理学校へ入学します。

行き場のない清は、裁判所に勤めるおいの家に世話になることにしました。

物理学校卒業後、坊っちゃんは校長に四国の中学校の数学教師をやらないかと相談を受けます。

教師以外に何かするあてもなかった坊っちゃんは二つ返事で引き受け、四国に赴任することになります。

出発の日、清は朝からやってきて、坊っちゃんの世話を焼きました。

汽車へ乗り込んだ坊ちゃんを涙ながらに見送ります。

汽車が動いてしばらくして窓から顔を出すと、清はまだプラットフォームに立っていました。

その姿は、坊っちゃんにはとても小さく見えました

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【承】坊っちゃん のあらすじ②

 

教師生活と嫌がらせ

坊っちゃんは四国の中学校に赴任します。

そこで、個性豊かな教師陣と出会いました。

年中赤シャツを着ているという物腰の柔らかい教頭、顔色が悪くうらなりのような英語教師、たくましいいがぐり坊主頭の数学教師、透けた羽織を着て扇子をぱちつかせる画学教師などです。

坊っちゃんはそれぞれに教頭は赤シャツ、英語はうらなり、数学は山嵐、画学は野だいことあだ名をつけ、清に手紙を書きます。

その後山嵐に下宿先の世話をされ、町外れの家に引っ越します。

学校での教師生活はこれと言って問題無く送りますが、ある日そば屋で天ぷらそばを四杯食べたところを学校の生徒たちに目撃されます。

翌日授業のために教室へ入ると、黒板に大きく天ぷら先生と書かれていました。

その日を境に、生徒からの嫌がらせ行為が続きます。

遊郭の近くで団子を食べたこと、温泉に毎回赤手拭いを持ち込んでいること、温泉の湯で泳いだことを黒板で同じように揶揄われます。

立て続けの嫌がらせに、坊っちゃんはうんざりしていました。

極めつけはある晩、初めての当直を担当した時のことです。

当直室で寝ていると、寄宿生たちに部屋にバッタを大量に入れられるいたずらに遭います。

後日生徒たちにこの件を問いただしますが、生徒たちはしらを切るばかりで認めません。

それからしばらくして、坊っちゃんは赤シャツに釣りに誘われます。

何かにつけて赤シャツについて回る腰巾着の野だいこも来るのだと聞きます。

坊っちゃんは断りたかったのですが、断れば釣りが下手だから行かないんだと邪推されると思い、二人と釣りへ行きます。

そこで、山嵐が生徒を扇動して嫌がらせをしているという内容の二人の内緒話が途切れ途切れに聞こえました。

帰り際に、坊っちゃんは遠回しに山嵐には気を付けろと言われます。

【転】坊っちゃん のあらすじ③

 

誤解と結束

坊っちゃんは赤シャツと野だいこに名前を伏せて山嵐を悪く言われたことにやきもきします。

二人はなぜはっきりと名前を出して陰口を言えないのか、山嵐はなぜ直接手をくださずわざわざ生徒たちを扇動するのかが坊ちゃんには理解できませんでした。

そんな時、ふと赴任したての頃山嵐に氷水をおごられたことを思い出します。

山嵐のような男に恩を受けるのは我慢ならないと思い、氷水代の一銭五厘を山嵐に返そうとします。

山嵐は下宿先での坊っちゃんの態度があまりに悪いと聞き、下宿を出るように言います。

言い掛かりをつけられた坊ちゃんは、山嵐と口論になり仲たがいをます。

しかし、バッタを部屋に入れた事件の生徒たちの処遇を決める会議で、山嵐は処分をしないのはおかしいと言います。

ことを荒立てたくない教師たちにやり込めされそうになっていた坊っちゃんにとって、筋の通った正論を述べる山嵐には助けられました。

その後新しい下宿先で、マドンナという女とうらなりが結婚の約束をしていた話を聞かされます。

結婚は金の事情で延期になり、その隙に赤シャツがマドンナを嫁に欲しいと言い出したそうです。

うらなりを気の毒に思った山嵐が赤シャツに意見しに行ったそうですが、もっともらしいことを言われ帰されてしまったと言います。

少し経ってから、うらなりが赤シャツによって半ば強引に転任させられる話を聞きます。

うらなりの送別会の当日、山嵐が下宿先の話は主人の作り話だったことを謝罪してきます。

謝られた坊っちゃんは、以前山嵐が受け取らず机に置いたままになっていた一銭五厘を自分の財布に戻します。

それをきっかけに坊っちゃんと山嵐は意気投合し、赤シャツをいつか懲らしめてやろうと結託します。

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【結】坊っちゃん のあらすじ④

 

天誅と帰郷

坊っちゃんと山嵐は、赤シャツが他人の素行を注意する癖に芸者遊びをしていることに気付き、それを利用して懲らしめてやろうと思い立ちます。

そんな計画をしていたある日、二人は生徒たちの大げんかに巻き込まれてしまいます。

そのけんかは新聞に載る程で、山嵐は赤シャツの思惑により事件の責任を取らされ辞職に追い込まれてしまいます。

坊っちゃんはその処分に納得がいかず、校長に自分も辞表を出すと言いますが取り合ってもらえません。

山嵐は辞表を出し教師を辞めますが、赤シャツへの報復は諦めませんでした。

温泉街の料理茶屋の表二階へ潜んで、芸者遊びの現場を押さえようと坊っちゃんとともに角屋を見張ります。

一週間見張っても赤シャツは現れません。

しかし、八日目になると、赤シャツのひいきの芸者が角屋へ入って行くのを山嵐が目撃します。

夜の十時まで辛抱強く待つと、ついに赤シャツと野だいこが現れ角屋へ入りました。

二人が出て来るところを押さえるために、坊っちゃんと山嵐はさらに朝の五時まで待ちます。

二人が角屋から出て来ると後をつけ、人気のない町外れで二人を問い詰めます。

言い訳をされますが、坊っちゃんも山嵐も取り合わず天誅だと言って二人を殴りつけました。

坊っちゃんは辞表を出して教師を辞め、故郷である東京へ帰ります。

清の元へ行くと、清は涙を流して再会を喜びました。

それから坊っちゃんは人の紹介で鉄道会社の技手になり、清とともに暮らします。

清は肺炎を患い亡くなってしまいますが、生前の本人の希望により、坊っちゃんの御寺である小日向の養源寺に墓に入りました。

夏目漱石「坊っちゃん」を読んだ読書感想

夏目漱石が自身の教師時代の体験を元にした、初期の代表作です。

学生時代に読んだことがある方も多いのではないでしょうか。

坊っちゃんの独特な語り口で書かれた教師生活や個性豊かな教師達は面白おかしく、それらへの接し方も痛快です。

自分の立場を顧みずはっきりと意見する様子は、読んでいて清々しい気持ちになります。

また、時折語られる清への飾らない気持ちには、心温まるものがあります。

正義感の強い坊っちゃんが陰湿な嫌がらせや陰謀に負けず、悪に立ち向かう姿は私たちに勇気を与えてくれます。

しかしそれだけに留まらず、正しすぎるが故に排除されてしまう様子も描かれていて、物悲しさも感じました。

時代は違えど、自分の信念や道理を貫くことは窮屈なことなのだと思います。

それでも自分を信じて正しい行いをしようとする坊っちゃんからは、特に窮屈な現代社会を生きる私たちは学べることが多いと思います。

人に合わせることは大切ですが、譲れない場面では損をしてでも、坊っちゃんのように信念を貫いていきたいと思える作品でした。

-夏目漱石

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