注文の多い料理店 宮沢賢治

宮沢賢治

宮沢賢治「注文の多い料理店」のあらすじを徹底解説、読んでみた感想

著者:宮沢賢治 1924年12月に杜陵出版部と東京光原社から出版

注文の多い料理店の主要登場人物

二人の紳士(ふたりのしんし)
本作の主人公。山奥に愛犬と共に猟にきたが、案内人とはぐれさまよっているうちに立派な西洋料理店を見つける。

白い犬(しろいいいぬ)
二人の紳士の愛犬。のちに、助けに来てくれる。

山猫(やまねこ)
注文の多い料理店の主。

1分でわかる「注文の多い料理店」のあらすじ

二人の紳士が、山奥に愛犬と猟にやってきました。

ですが、途中で案内人の男とはぐれてしまい、二人は山奥をさ迷い歩きます。

一緒に連れてきた犬は、途中で死んでしまったのです。

帰ろうとする二人でしたが、途中で立派な西洋料理店を見つけます。

店内はいくつもの扉があり、扉に貼られた注意書きに従いながら二人の男は奥の部屋へと進みます。

クリームを塗り、塩を塗り込むよう指示されたところで、二人はこの注意書きが自分たちを食べるためのものだったのだと気づきます。

すると突然死んだはずの犬が部屋に現れ、扉の奥に飛び込んで行ってしまいました。

奥から聞こえる恐ろしい鳴き声と音と共に、屋敷は突然消え去り、二人の紳士は荒野の中に立っていることに気づきます。

探しに来た専門の猟師を共に二人は下山しましたが、くしゃくしゃになった顔は決して元に戻ることはありませんでした。

宮沢賢治「注文の多い料理店」の起承転結

【起】注文の多い料理店 のあらすじ①

二人の紳士、立派な西洋料理店を見つける

狩猟に出ていた二人の紳士が、道に迷っているところから物語は始まります。

二人はイギリスの兵隊のような格好をし、ピカピカの銃を携え、2匹の白い犬をつれています。

山の奥深くまで来てしまったため、二人は案内人とはぐれてしまいました。

しかも獲物は一匹も捕れず、二人の不満が募ります。

鹿の横腹にタンタァーンと銃弾をぶちこみたいと話ながら、ずんずん山奥へと歩いていきます。

あまり山奥へと足を踏み入れたので、連れていた二匹の犬は泡を吹き、白目を向いて倒れてしまいました。

「じつに、僕は、2400円の損害だ」「僕は、2800円の損害だ」犬が死んだというのに、二人の紳士は金銭的損失についてばかり話します。

日も暮れ、風が強くなってきました。

木々のざわめきも大きくなるばかりです。

「僕はもう戻ろうと思うよ」「さあ、ぼくもちょうど寒くなったし腹はすいてきたし、戻ろうと思うよ」途方に暮れた二人は山を降りることを話し合います。

獲物は一匹もとれませんでしたが、途中の山小屋で兎をじゅっせんばかり買って帰れば、狩りをしたのと同じことだと言いながら道を引き返そうとしますが、帰り道がわかりません。

お腹がすきすぎて、横腹が痛くなってきます。

「あるきたくないよ。

あぁ困ったなぁ。

何か食べたいなぁ」「食べたいもんだなぁ」ざわざわと鳴るすすきの中で、二人の紳士がそう言いながら後ろを振り向くと、そこには一軒の立派な洋館が暗闇の中に立っていました。

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【承】注文の多い料理店 のあらすじ②

屋敷の中は、注意書きだらけ

それはとても立派な洋館で、restaurant wild cat 山猫軒と書かれています。

こんな山奥に立派なレストランが建っていることを不思議に思う二人でしたが、とてもお腹が空いていたので相談して中で食事をとることにしました。

ガラスの扉には「どなたもどうかお入りください。

遠慮はけしていりません」と書かれており、二人の紳士は喜びながら早速戸を開けて中に入りました。

すぐそこは廊下になっており、扉の裏にはこう書かれてありました。

「ことにふとったお方や若いお方は、大歓迎だいかんげいいたします」2人は大歓迎ということに、大喜びします。

廊下を進んでいくと、水色の扉がありました。

そこには黄色のペンキでこう書かれています。

「当軒は注文の多い料理店ですからどうかそこはご承知ください」とありました。

注文の多い料理店とは、どのようなことなのかを話し合いながら、二人の紳士は扉の奥へと進みます。

そこはまた扉があり、「注文はずいぶん多いでしょうがどうか一々こらえて下さい。」

と、書かれています。

二人の紳士は、どういったことなのか話し合いながら、扉を開けます。

そこにはまた扉があり、脇に鏡がかけてありました。

したには長い柄のついたブラシが置いてあります。

扉には、「お客さまがた、ここで髪かみをきちんとして、それからはきものの泥どろを落してください。」

と、赤い文字で書かれていました。

二人の紳士は、よほどきちんとしたレストランなのだと話ながら言われた通りにすると、扉を開けました。

また次の扉には、「壺の中のクリームを手足にすっかり塗ってください」と書いてあり、クリームが入った壷が置かれていました。

寒さのあかぎれ対策だと思った二人は、心遣いに感激しながら言われた通りにします。

また次の扉には、「クリームはよく塗りましたか。

耳にも塗りましたか、」と書かれており、小さな壷が置いてありました。

紳士は塗り忘れた耳にもクリームを塗り込み、扉を開けました。

次の扉には、「料理はすぐできます」と書かれており、香水が置いてありました。

香水は酢の臭いがしましたが、侍女が間違えたのだという意見に落ち着きました。

最後に、「いろいろ注文が多くてうるさかったでしょう。

お気の毒でした。

もうこれだけです。

どうかからだ中に、壺の中の塩をたくさんよくもみ込んでください。」

と書かれており、二人はガタガタと震え始めました。

【転】注文の多い料理店 のあらすじ③

料理店の正体

注文の多い料理店とは、二人の紳士が注文する料理店ではなく、料理店から二人の紳士に注文されるお店だということに気づきました。

「だからさ、西洋料理店というのは、僕の考えるところでは、西洋料理を、来た人に食べさせるのではなくて、来た人を西洋料理にして食べてやるとか言う事なんだ。

これは、その、つ、つ、つ、つまり、ぼ、ぼくらが…」ガタガタ震えだした二人は、もうものが言えません。

つまりこの料理店は、客に料理を出すお店ではなく、客が料理にされるお店だったのです。

「逃げ…」自分達が料理の材料にされるとわかった二人は、ガタガタと震え逃げようとしましたが、後ろの扉を開けようとしましたがびくともしません。

押すのをあきらめた二人は、大きな鍵穴がふたつついた扉が奥の方にあるのを見つけました。

大きな扉には、銀色のナイフとフォークの形が切り出してあります。

そして、今度はこう書いてありました。

「いや、わざわざご苦労です。

大へん結構にできました。

さあさあなかにおはいりください」おまけに鍵穴からは、二つの青い眼玉がぎょろぎょろと覗いています。

二人はガタガタがガタガタ震えて、泣き出しました。

「だめだよ、もう気が付いたよ。

塩をも見込まないようだよ」「当り前さ。

親分の書き方がまずいんだ」扉の向こうから聞こえてきたのは、恐ろしい話声でした。

ふたりはガタガタ震え、泣きました。

あまりの恐怖に、二人の紳士の顔は紙屑のようにくしゃくしゃになりました。

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【結】注文の多い料理店 のあらすじ④

元には戻らない顔

顔をくしゃくしゃにして声もなく泣くふたりの紳士でしたが、中からは相変わらず呼ぶ声が聞こえてきます。

「いらっしゃい、いらっしゃい。

そんなに泣いてはせっかくのクリームが流れるではありませんか。

さあ、早くいらっしゃい」「親方がもうナフキンをかけて、ナイフをもって、舌なめずりして、お客様方を待っていられます」二人は泣いて泣いて泣きました。

その時後ろからいきなり「わんわん!」と声がして、あの白い二匹の犬が扉を突き破って飛び込んできました。

鍵穴から覗いていた目玉はなくなり、犬はしばらく紳士たちのいる部屋の中をぐるぐると回っていましたが、また一声「わん」となくと、次の扉に飛び込んでいきました。

するとその扉の向こうの暗闇から、「にゃおにゃお。

わんわん!ごろごろ」という声がして、ガサガサと鳴りました。

二人がいた部屋は煙のように消え、二人の紳士は自分たちが草の上に立っていることに気づきました。

見ると、上着や靴や銃などは、あちこちの草むらや木の枝に引っかかっていました。

風がどうと吹き、草はざわざわと揺れ、木はごとごとと鳴りました。

犬が戻ってくると、その後ろから、「旦那ぁ、旦那ぁ」と呼び声が聞こえ、専門の猟師が草をかき分けながらやってきました。

そこで、やっと二人は安心しました。

そして、猟師が持っていた団子を食べ、途中で山鳥だけ買って東京に帰りましたが、くしゃくしゃになった二人の顔は、洗っても決して元には戻らなかったのでした。

宮沢賢治「注文の多い料理店」を読んだ読書感想

学校の教科書にも載っている、宮沢賢治の代表作です。

子供向けの絵本として書かれましたが、内容は大人が読んでも面白いものです。

短いですが、二人の紳士と共にドキドキはらはらさせられる作品です。

この作品のテーマは、「命」です。

二人の紳士は、鹿の横腹に穴を開けることを事も無げに話し、二人の愛犬が死んでも痛むどころか損害額の話をするばかりです。

そんな二人は山猫の待ち構える料理店に迷い込み、自分たちが逆に食べられそうになってしまうという経験をします。

そして、死んだと思った愛犬に助けられ下山するのですが、二人のしわくちゃになった顔は元に戻りません。

二人の紳士の顔が元に戻らないのは、命を粗末にすることへの罰だったのではないかと思います。

人が生きていくうえで、動植物の命を戴いている…という感覚は、日常生活の中では忘れがちです。

私たちの命は何かを犠牲にして成り立っているという事を忘れてはいけないと、再認識させてくれる作品です。

-宮沢賢治

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