村上春樹「風の歌を聴け」のあらすじを徹底解説、読んでみた感想

村上春樹

村上春樹「風の歌を聴け」のあらすじを徹底解説、読んでみた感想

著者:村上春樹 1979年7月に講談社から出版

風の歌を聴けの主要登場人物

僕(ぼく)
主人公。東京に進学していて夏休みで帰省中。

鼠(ねずみ)
僕の友人。金持ちの息子。金持ちが嫌い。

ジェイ(じぇい)
僕と鼠が通うバーのマスター。

小指のない女の子(こゆびのないおんなのこ)
ひょんなことから出会ったレコード屋の店員。僕のひと夏の恋の相手。

1分でわかる「風の歌を聴け」のあらすじ

ビールと恋に彩られた若き日の夏の思い出。

東京の大学に通う僕は長い休みになれば故郷に帰省していました。

故郷で通うバーには店のマスタージェイがいつも温かく迎え入れてくれ、そこではいつも鼠と僕はいつもそこで何気なくたわいない大切な時間を過ごしていた。

そして傍らにはいつもビールがあった。

若さ特有の憂鬱さや幸福を持て余したような怠惰さを抱えながら、ひと夏が過ぎていくのを過去を振り返りながら過ごしていきます。

村上春樹「風の歌を聴け」の起承転結

【起】風の歌を聴け のあらすじ①

 

ビールを飲もう

港町で一人っ子として育った僕は、幼いころにあまりうまく話せなかったことから不安に思った親が精神科の医者にかかっていたが、本人にはそれが治療だとは気づかないまま時が過ぎ、それから問題なく平凡な少年として成長していくようになります。

のちに本をよく読むようになり、その中から一風変わった作家の小説から文章の全てを学びながら愛読書として楽しむようになりました。

やがて大学生となり上京して大学へ通っていた僕は夏休みには帰省をし、なじみの店に通うようになります。

ある日、店で出会った鼠という変わったあだ名を持つ男を気が合い、親睦を深めるようになりました。

酔っぱらった二人はチームを組み、車で公共物にぶつかる自損事故を起こしてしまいます。

事の大きさに目が覚めた二人だったが、口から出た台詞がお互いに「ビールを飲もう」でした。

そんな二人のもとにはやがて、自治体から請求された賠償金の支払いに追われることになるのでした。

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【承】風の歌を聴け のあらすじ②

 

小指のない女の子

若者と酔っ払いでごった返すなじみの店・ジェイズバーは中国人のジェイがマスターとしてひとりで切り盛りしていました。

ジェイは丁寧にジャガイモの皮をむいてつまみの下ごしらえを丁寧にし、酔っ払いをうまくあしらい、いいタイミングでビールを提供し、小粋な会話で僕を楽しませる男でした。

そのバーで僕はいつもの通りにビールを嗜んでいるとトイレで酔いつぶれて寝ている女性に遭遇します。

その女性は誰かを待っているのか酒を飲んでは電話をするというのを何度か繰り返していた女性でした。

すっかり意識のない女性を何とか家の住所を尋ねながら連れて行きますが、目覚めた時には二人ベッドで寝ており、裸だったことからあらぬ疑いを掛けられてしまいます。

彼女は意識がないところを襲われたと思っており怒りを露にしていました。

僕は釈明に追われますが一切聞く耳を持ってくれません。

車で近くまで送りますが彼女の怒りは収まることはなく、誤解されたまま去っていきました。

【転】風の歌を聴け のあらすじ③

 

ひと夏の恋のようなもの

いつものバーで飲んでいた鼠も少し様子がおかしく元気がありませんでした。

どうやら彼も恋をしているのか相手のことで少し悩みがある様子で、僕に何かを打ち明けようかと迷っていたようでした。

しかし結局彼の口からそれ以上のことは何も語られることは無くなりました。

一方、何気に立ち寄ったレコード店でいつかの怒れる彼女と再会した僕は、彼女の勤務先がここであることを知ります。

相変わらず警戒した態度の彼女でしたが、前ほど怒りは持っていないようです。

そのうち彼女とは徐々に打ち解けて話をするようになり、一緒に酒を飲んだり、彼女の部屋で食事をするような間柄になっていきました。

僕は小さなころからの自分の家庭のしきたりとして家長である父の靴の磨く習慣のことを話したりして、彼女と楽しいひと時を過ごすことになります。

その内、彼女も徐々に自分のことを少しずつ話すようになっていき、二人の関係が深まっていくのに時間はかかりませんでした。

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【結】風の歌を聴け のあらすじ④

 

夏の終わり、若さの終わり

ある日、彼女と二人で歩いている際に、実は中絶をしていたことを聞かされました。

思いのほか傷ついている彼女に対し、戸惑いながらも優しくいたわろうとしますがぎこちないまま終わってしまいます。

それからしばらくして彼女とは会わなくなっていき、その会わなくなった時間の代わりにラジオを聴いていると、いかにも調子のいいラジオDJが冷やかしながら僕あてに曲を送りたいというリクエストを読み上げているのが耳に飛び込んできます。

リクエストは高校時代の同級生の女子で、彼女は現在病気のため療養中であり、よくラジオを聴いていてそこからリクエストを送ったらしいのです。

曲が終わったのち、ラジオDJは番組から彼女を含む全てのリスナーへ向けて熱い声援を送り番組を終了します。

休みが終わり、上京する前にバーへ挨拶してから故郷を後にしました。

その冬に帰省すると、小指のない女の子はレコード屋を辞めており部屋も引っ越していなくなっており、鼠も街を離れていたことを知りました。

あれから時が過ぎ、現在では東京で居を構える僕にはクリスマスに毎年鼠からの小説が送られていました。

村上春樹「風の歌を聴け」を読んだ読書感想

最初読んだ時は日本人が書いたアメリカが舞台の青春小説なのかな?と勘違いするぐらいにおしゃれで日本の話っぽくなかったことを思い出します。

もうはるか昔の青春小説ではありますが今でも読み返すとすごく生活がおしゃれで、大人びていてカッコ良かったんです。

こういうローなテンションで淡々と繰り広げられる日常なんだけど、その中には中絶していたり、家庭環境に恵まれていない寂しさみたいなものがじわじわ染みているのが、ドライな文体の中に都市生活の孤独を秘めているようで安易に埋められない悲しさをよく表現していると思いました。

今読み返してもオシャレで、なかなか実際にはこんな風に生きていけた人はいないんじゃないと思いますが、そこは小説の醍醐味なのかもしれません。

-村上春樹

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